ライトグリーン・スカイ
「嫌。有得ないから」

「そんなに恥ずかしい事じゃないと思うけどな…」

充分に恥ずかしい事です。尋さん。

何時もよりも長く見入っているからか、尋が突然くすりと笑う声が聞こえた。

そんなにおかしい事なの?ギッと彼を睨み付ける。

「可愛いなって思っただけだよ」

言い訳をするかの如く、尋は言う。私の怒りを買うだけなのに。

喋ろうとすると、口を塞がれた。私の意見を聞かないつもり?

「愛しのペンギンが驚くよ」

それを聞いた途端、怒鳴る気も少しは失せた。

ほどなくして塞がれた口が解放され、1度深呼吸。

「飛べないペンギンと、僕は似ているかもしれない」

本人は私に聞こえないように言ったのかもしれない。

でも私の耳にはその言葉はちゃんと届いていた。
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