ライトグリーン・スカイ
こういう時、一緒になって笑っている筈の栄兄ちゃんには笑顔はない。

何処か悲しげな、私も1度も見た事のないような表情で。私にはそれが不気味に感じた。

「栄兄ちゃん?」

「……ああ、すまない。考え事をな」

間の抜けた返事が返って来る。本当にどうかしたのだろう?

身体の調子が悪いのか、はたまた何処かで頭をぶつけて性格が…って事はないか。ま、すぐに元に戻るか。

何か別の話題にしようと、尋達がいたドイツの事を聞いてみた。

「向こうも暑かった?」

「うん。たまにね。でも涼しい時は涼しいというより、少し寒さを感じるかな…」

「寒暖の差が激しいな。暑い日が続いたかと思えば、いきなりさむすずしくなるし」

栄兄ちゃん、さむすずしいって何?聞こうとした。

けど“自分で理解しろ”とか言われそうだったし、もう家に着いて区切れも良かったからやめた。
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