ライトグリーン・スカイ
「やっぱり、ひくよな…」

ごめんね、栄兄ちゃん。約束破っちゃったね。

「お前の兄貴、つまり想太だもんなあ…」

はい?今なんと?

私の聞き間違いでなければ“想太”という単語が出てきた気がしたんだけれど。

私の気持ちに答えるかのように、虚しい風がひゅるりと吹いた。

お兄ちゃん、確かに昔貧弱だったけどさ。同一の人間だとは思わなかったよ。

「ある意味ではあいつが初恋だったのかもな」

何その爆弾発言とも取れる言葉は。

凛ちゃんがこの事知ったらどう思うのだろう。少し想像した。

「あ、今は恋の相手じゃなくて忘れられない奴だから。その点は勘違いするな」

そう言われてもな……ちょっと困るよ。

「それからどんどんあの野郎強くなりやがって…

俺がいない間に態度まででかくなって。最凶だな。正に」
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