ライトグリーン・スカイ
「他にも何かあるの?」

盛大な溜息を吐く栄兄ちゃん。呆れた様子だ。

私は本当に何の事だか分からずにいた。

「俺の事だけじゃなくて、もう1つあるって言ってんだよ」

…あ。思い出した。でも正直、聞きたくないなあ。

このまま何も知らないフリして帰ってしまおうか?

なんて事を考えていたのがバレたのか、思いっきり睨まれて。

知らないフリをしたら余計に機嫌を悪くしてしまう事は、

目に見えて分かった。渋々と、またベンチに腰掛けた。

「尋の話でしょ?早く手短にお願いね?」

あまり聞きたくないから、すぐに終わらせてほしいと願う。

「だったら安心しろ。一言で済むから」

良かった。一言で済むなら私も嬉しい。でもこんなにあっさりと願いが叶って良いものなの?

「実はだな……」

重々しく暗いトーンの声が響く。私の思考が一瞬だけ、真っ白になった。
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