空と海

兄と私






一ヶ月後


ミーンミーンミーンミーンミーン…………



今日は一段と蝉の鳴き声が五月蝿い。
京の地形は盆地のため、夏は蒸し暑く、冬は寒い。





ミーンミーンミーン………



「永久、本当に残るんだな。」



「はい。いつでも、こちらの状況をお伝えしたいので………。」




蝉の鳴き声とは反対に長州の屋敷はシンッとお葬式のような静けさだ。


今日は文久三年八月十九日………。


昨日の八月十八日は、私達長州の者が京から追い出された。





今、この屋敷に居るのは私と高杉さん、香山さんだけで、他の者は昨日の夜のうちに長州に逃げるように帰って行った。






「分かった………。くれぐれも長州の者だとばれるんじゃねぇぞ………。」



「はい…。高杉さんと香山さんも、どうか道中ご無事で…。」



「ああ…。」

「はい…。」














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