空と海
狼達の夜.後編
足が重い。
涙で視界がぼやける。
お願い、お願いだから無事でいて.....。
私は京の闇の中を池田屋目指して走っていた。
『京の夜はあぶねぇから、女、一人で出歩くな!!!もしもの事があったらどうすんだよ!!』
京に来たはじめの頃、ちょっと夜に用があって外に出た私に、岡田がそう言いながら本気で私に怒ったことがあった。
あまり怒らない岡田がかなりの形相で怒ったものだから、それ以来、夜外に出るときは岡田や長州屋敷にいる誰かについて貰っていたが、今は誰かに着いてきてもらうと言う余裕がない。
一刻も早く池田屋に行かないと....!!!!!
私はその想いで足をもつらせながらも池田屋へと急ぐ。