空と海
さっきまでは、池田屋に行きたくて仕方なかったはずなのに今は、行きたくなくて仕方がない。
行きたくない。行きたくない。
そう思っていると、池田屋への道のりがあっという間で、私は池田屋の近くにある民家の影でそっとうずくまった。
ドクンドクンと脈をうつ私の鼓動がいつもより大きく聞こえる。
「大丈夫、大丈夫、大丈夫....。」
自分の震える手を握り締めながら゙大丈夫゙という言葉を繰り返す。
そして私は意を決してゆっくりと池田屋の方へと視線を向ける。