空と海
いつもと違う着物を幾松さんに着せてもらっていて緊張する。
「きつくないどすか?」
幾松さんがポンッと帯の部分を軽く叩く。
「は……あい。」
あやうく、京言葉を使うのを忘れた私をギロッと睨む幾松さん。
「お客はんの前で、ぼろをださんように!!!!」
「あ…あい。」
多分…いや、確実にこの調子だと京言葉を忘れて、素で話す……。
私がそんな事を思っているのがばれたのか幾松さんがハァと溜め息つきこちらを見る
「永久はんが、もし、長州の者ってバレてもうたら、桂はんや高杉はんまでもが危ないめぇに会う。だから、シャキッとしなはい。」
そう言って幾松さんは私に喝をいれ、ギュと帯を強く結ぶ
「うっ!」
「帯は人の姿勢を綺麗に見せてくれる。それに、ほら、さっきよりもシャキッとしとる」