密の味~しなやかにつけこんで~
沖田と名乗ったその男は。
隣の部屋の住人で。
今までほとんど顔を合わせた事がなかった。
だけど先日――。
『お姉さん、寛大だね』
突然、脈絡もなく話しかけられ、戸惑っている私に。
彼は言った。
『お姉さんの彼氏。しょっちゅう女の人、連れ込んでるよ?」
寝耳に水の話だった。
渡してあった合鍵を。
まさかそんな風に悪用されているなんて。
とても信じられなかった。
でも隣の男は――。
『信じられないなら、確かめるといいよ』
そう提案し……。