その指に触れて
「ていうか、最初の話に戻ってよ。まあ、遥斗は誰でも断れないよね。優しいから」

「俺、優しいの? まあ、断れないのは事実かも。頼まれたら断りづらくない?」

「めんどくさいのは断る」

「随分ばっさり切るね……。まあ、元カノとは嫌いになって別れたわけじゃないから、頼まれたら意識はするかもね」

「断れないどころか意識するって……。あんた、元カノに何されたの? ていうか、なんで別れたの?」

「別に何も。別れを切り出したのは俺。元カノとは性格が合わなかった。俺は平気だったけど、元カノが辛そうだったから」

「何、それ?」

「まあまず、好みが合わない。俺はパスタが食べたいって言うと彼女は和食がいいって感じ」

「ファミレス行けよ……」

「例えばの話だよ。俺が乗り気じゃないときに迫ってくるとか。逆もあった」

「遥斗が迫るって……」

「ちょっと、万梨ちゃん、変な想像しないでよ」


いや、しちゃうでしょ。そんな話聞いたら。


遥斗が美人に迫る……。うわ、まるで想像できない。


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