その指に触れて
「万梨ちゃーん、妄想しないでよー」

「しない方が無理。うわ、なんかドラマになりそう」

「……何の話?」


遥斗があたしの顔の前で手を振ってみせた。


その指で遥斗は元カノの体を……。


うわ、ついに思考がおかしい、あたし。


「それで別れたと?」

「うん。あんなに合わないカップルもなかなかいないと思うよ。あ、未練とかはないから安心して」

「いや、どうでもいいけど。遥斗は好きだった? 元カノのこと」

「うん」

「ならよかった」

「なんで?」

「付き合った人をちゃんと好きになれる人は、幸せになれるから」

「何それ。わけわかんない」


遥斗は声を上げて笑った。


あながち間違いでもないと思うよ。


好きな人の過去に嫉妬するなど愚かなことだ。でも、ちゃんと好きになれたことは幸せなのだと思う。


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