その指に触れて
遥斗の体から顔を背ける。



だってさ、目が覚めたときに遥斗の体が目に入ったらあたし、何するかわかんないし。


それこそ襲ってしまうとも否定できない。


ほんと、あたしって図々しい。一日前には他の男と肌を重ねてたってのに、今は別の男に膝枕してもらってんだから。


汐香と睦実と瞳には絶対言えない。顔をしかめられるどころか、絶交かも。傍から見ればあたしは軽い女の部類に入るかもしれないし。


ていうかまあ、そうだろう。


枕は固いけど、なんだか温かくて気持ちいい。最高の膝枕だ。もう鼻血出そうよ。


逆上せて寝ながら鼻血出さないかな。やばいな、遥斗の制服汚したら。


「万梨ちゃん……」


呼ばれた気がした。


……夢?


ゆっくりと目を開ける。


あたしはいつの間にか眠っていたらしい。


「……今何時?」


頭がぼーっとしている。目も油断していたらまた閉じそうだ。


体を起こそうとして、あたしは違和感を覚えた。



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