その指に触れて
「あのさ、万梨ちゃん」
わずかに首を傾げてキスをしても二人のメガネのフレームが当たってしまった。
メガネ同士って、不便だな。
二人の唇が離れた直後、遥斗が顔をしかめていた。
「いつも思うけどさ、キスのタイミング、万梨ちゃんおかしくない?」
「あたしがしたいタイミングです」
そう言って、あたしは遥斗の指を自分の指から外していく。
カウントダウンみたいだと思った。
一本ずつ離れていく指が、指折り数えていく代わり。
今日も遥斗の指は、変わらず綺麗だった。
もう少し見ていたかったけど。
タイムリミット。
「じゃあね」
くるりと遥斗に背を向けて、あたしは元来た道を歩き始めた。
ふう、と吐く息が白く見えて、あ、もう冬だったと思い出した。
……ほんと、ずるいよ、遥斗は。
わずかに首を傾げてキスをしても二人のメガネのフレームが当たってしまった。
メガネ同士って、不便だな。
二人の唇が離れた直後、遥斗が顔をしかめていた。
「いつも思うけどさ、キスのタイミング、万梨ちゃんおかしくない?」
「あたしがしたいタイミングです」
そう言って、あたしは遥斗の指を自分の指から外していく。
カウントダウンみたいだと思った。
一本ずつ離れていく指が、指折り数えていく代わり。
今日も遥斗の指は、変わらず綺麗だった。
もう少し見ていたかったけど。
タイムリミット。
「じゃあね」
くるりと遥斗に背を向けて、あたしは元来た道を歩き始めた。
ふう、と吐く息が白く見えて、あ、もう冬だったと思い出した。
……ほんと、ずるいよ、遥斗は。