その指に触れて
10.パノラマの世界
次の日、あたしは晃彦を教室に呼び出して、話をした。


この間のことがあるからかなり構えて、いつでも逃げ出せるようにドアの前に立っていたら、「お前のことはもう興味ねえよ。悪かった」とあっさり謝られた。


「むしゃくしゃしてて、万梨子に当たった。ほんとに悪かった」

「あたしが振り向かなかったことに対して?」」

「まあ、なんでみんな俺のものにならないんだっていうやつだな。あほらしいだろ?」

「あほらしいね」

「万梨子も同じようなもんだけど。遥斗ってやつにフラれたんだろ?」

「慰めでキスしたけどね」

「あいつは慰めでキス受け入れんの? なかなかやるな」

「何それ」

「意外に女の扱い慣れてんなって」

「童貞じゃないしね」

「やばい、あいつとダチになれそう」

「どうでもいいけど、あたしがこれ言ったって話さないでよ。フラれて自棄になってるなんて思われたくない」

「キスした時点で自棄入ってんじゃん。今更」


晃彦はなぜか笑いを堪えていた。


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