その指に触れて
三年生になっても、あたしと遥斗が同じクラスになることはなかった。


まあ、遥斗は理系であたしは文系だから、同じクラスになる可能性は元からなかったんだけど。


遥斗は一組、あたしは六組で、学校内で会うことはほとんどなくなった。


それでもあたしは勉強を続けて、遥斗のことも忘れなかった。


「西崎の成績だったら、W大も受けられなくもないな」

「……と、いいますと?」

「ぎりぎりC判定だな」

「C判定……」


模試はA~E判定まであり、A判定が最高だ。C判定ならば、ボーダーラインといったところだろうか。


「ただ、D判定に近いから、まだまだだけどな」

「はい」

「しかし、驚いたな。西崎がW大受けたいなんて」

「一応ですよ。第一志望は国立ですし」

「国立がM大だからな、だいぶ学力の差があるぞ。併願校も決めておけよ」

「はい」


担任に面談で言われた。


それが五月。


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