その指に触れて
夢を見た。
遠くに遥斗と晃彦がいて、あたしを呼んでいる。
遥斗…………。
あたしは躊躇なく遥斗に手を伸ばす。
『万梨ちゃん』
『万梨子』
あたしは動きを止める。
『万梨ちゃん』
『万梨子』
なぜか吐き気が起こる。
……何だ?
二人の声が、違う。
二人の声が入れ替わっていた。
声だけじゃない。呼び方まで入れ替わっている。
遥斗が晃彦の声で『万梨子』と呼び、晃彦が遥斗の声で『万梨ちゃん』と呼んでいた。
『万梨ちゃん』
『万梨子』
二人の声がこだまして、あたしの鼓膜を何度も震わす。
何だ、これは。
あたしは、どちらに手を伸ばせばいいのか。
あたしは、どうすればいいのか。
──キモチワルイ。
耳を塞ぐ。それでも二人の声は頭の中で繰り返されていた。
口を開ける。声が出ない。
やめて。やめて。やめて。
遥斗、やめて。これ以上、あたしを苦しませないで。
──万梨ちゃん。
「──遥斗っ!!」
遠くに遥斗と晃彦がいて、あたしを呼んでいる。
遥斗…………。
あたしは躊躇なく遥斗に手を伸ばす。
『万梨ちゃん』
『万梨子』
あたしは動きを止める。
『万梨ちゃん』
『万梨子』
なぜか吐き気が起こる。
……何だ?
二人の声が、違う。
二人の声が入れ替わっていた。
声だけじゃない。呼び方まで入れ替わっている。
遥斗が晃彦の声で『万梨子』と呼び、晃彦が遥斗の声で『万梨ちゃん』と呼んでいた。
『万梨ちゃん』
『万梨子』
二人の声がこだまして、あたしの鼓膜を何度も震わす。
何だ、これは。
あたしは、どちらに手を伸ばせばいいのか。
あたしは、どうすればいいのか。
──キモチワルイ。
耳を塞ぐ。それでも二人の声は頭の中で繰り返されていた。
口を開ける。声が出ない。
やめて。やめて。やめて。
遥斗、やめて。これ以上、あたしを苦しませないで。
──万梨ちゃん。
「──遥斗っ!!」