その指に触れて
11.口紅とアイラインとファンデーション
結局、あたしが行動しなければ世界は変わらない。
あたしはいつも降りる駅を素通りして、電車に揺られた。
授業にはちゃんと出た。一人暮らしだからって、甘えられない。
いつも降りる駅から五つ先の駅で降りる。改札口で切符を通して、外に出る。
既に空は星が出ていた。
店が多いせいで、昼間と同じくらい明るいんじゃないかと思うくらい明るい商店街を通り、その明かりが見えなくなる頃、一つのマンションにたどり着いた。
「番号は、……508か」
外観だけで学生が住むには高そうだった。
金持ちなんだ。
エレベーターで五階まで上がり。508とドアに書かれているドアの前のインターフォンを鳴らす。
『……はい』
インターフォンから低いくぐもった声が漏れた。
「西崎です」
あたしがそう告げると、えっという声が聞こえた。
すぐに目の前のドアが開かれる。
ドアから覗いた男は、驚愕を隠しきれていなかった。
「……万梨ちゃん」
「久しぶり、遥斗」
あたしは満面の笑みを見せた。
あたしはいつも降りる駅を素通りして、電車に揺られた。
授業にはちゃんと出た。一人暮らしだからって、甘えられない。
いつも降りる駅から五つ先の駅で降りる。改札口で切符を通して、外に出る。
既に空は星が出ていた。
店が多いせいで、昼間と同じくらい明るいんじゃないかと思うくらい明るい商店街を通り、その明かりが見えなくなる頃、一つのマンションにたどり着いた。
「番号は、……508か」
外観だけで学生が住むには高そうだった。
金持ちなんだ。
エレベーターで五階まで上がり。508とドアに書かれているドアの前のインターフォンを鳴らす。
『……はい』
インターフォンから低いくぐもった声が漏れた。
「西崎です」
あたしがそう告げると、えっという声が聞こえた。
すぐに目の前のドアが開かれる。
ドアから覗いた男は、驚愕を隠しきれていなかった。
「……万梨ちゃん」
「久しぶり、遥斗」
あたしは満面の笑みを見せた。