その指に触れて
「なんで……」
「今はM大生です」
「それは知ってるけど……なんでここがわかったの?」
「さあ、なんででしょう」
しばらく目をしばたたかせていた遥斗が急にあっと声を上げる。
「……とりあえず、上がって」
「おじゃまします」
遥斗が見ていない隙にこっそりほくそ笑む。作戦成功。
「今、何してたの?」
「宿題」
「邪魔したね」
「思ってないでしょ。別にいいけど、急ぎじゃないし」
さすが優等生。あたしは直前にならないと宿題なんて手つけないのに。
部屋は1LDKだった。八畳ほどある部屋にはベッドと机とテレビとテーブルが置かれていた。
机の上に置かれているパソコンと書類を一つにまとめて、遥斗は台所に消えていく。
「適当に座って」
そう言われて、あたしは初めて自分が人様の部屋でぼけっとしたまま立ち尽くしていることに気づいた。
テーブルの下に敷かれているラグの上に座り込む。
押しかけたのは自分なのに、今更罪悪感が押し寄せてきた。
「今はM大生です」
「それは知ってるけど……なんでここがわかったの?」
「さあ、なんででしょう」
しばらく目をしばたたかせていた遥斗が急にあっと声を上げる。
「……とりあえず、上がって」
「おじゃまします」
遥斗が見ていない隙にこっそりほくそ笑む。作戦成功。
「今、何してたの?」
「宿題」
「邪魔したね」
「思ってないでしょ。別にいいけど、急ぎじゃないし」
さすが優等生。あたしは直前にならないと宿題なんて手つけないのに。
部屋は1LDKだった。八畳ほどある部屋にはベッドと机とテレビとテーブルが置かれていた。
机の上に置かれているパソコンと書類を一つにまとめて、遥斗は台所に消えていく。
「適当に座って」
そう言われて、あたしは初めて自分が人様の部屋でぼけっとしたまま立ち尽くしていることに気づいた。
テーブルの下に敷かれているラグの上に座り込む。
押しかけたのは自分なのに、今更罪悪感が押し寄せてきた。