その指に触れて
「今、こんなこと言うのもどうかと思うけど」


遥斗の頬は温かい。肌も綺麗だ。


「うん」

「遥斗、あんた彼女以外とやる気ないんじゃなかった?」

「じゃあ、付き合おっか」

「軽っ」

「これで文句ないでしょ?」

「いや、どちらかと言えばあんたの言い分……」

「万梨ちゃんさ、始めっからそのつもりでここに来たよね」

「そのつもり?」

「やるつもり」

「遥斗もでしょ」

「まあ、酔わせれば万梨ちゃんから誘ってくるだろうみたいな」

「最低。このヘタレ」

「誘導尋問って言うの」

「なんか違う気がするけど」


二人同時に笑う。


遥斗があたしの体を引き寄せた。


「……万梨ちゃん」

「ん……」

「いい?」


あたしは頷く代わりに遥斗の唇を塞いだ。


「んっ……」


わずかに漏れた遥斗の声があたしを煽る。


遥斗の唇はやっぱり今まで触れてきたどんなものよりも柔らかい。


やがて唇を離した遥斗はあたしを抱えてベッドに押し倒す。


「万梨ちゃん……」


あたしの上に馬乗りになっている遥斗が再び唇を重ねてくる。


遥斗があたしに覆いかぶさって吸い付いた首筋に、赤い跡が残った。


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