その指に触れて
「……ちょっと、謝りたかったんだ」
「は?」
俯いた山田くんはぽつぽつと話し始めた。
「いや、本当に嵌めたつもりはなかったんだよ。ただ、ゆみちゃんからメール送られてきてないって言われたときは冗談かって思ったんだ。だから、もう一回送った。でもゆみちゃんは来てないって言うから、間違って送った人に気持ち悪いメール送っちゃったなって思って、謝りたくて呼び出してみたんだ。……まさか本当に来てくれるとは思わなかったけど」
そう言った山田くんは、目を細めた。
見上げたその笑った顔は、意外に悪くないかもな……と思った。
「いや、そうじゃなくてさ、あんたバカ?」
「ふえっ? ばか?」
「気持ち悪いからふえっとかやめて。あんた、ほんとばかでしょ。そんなの『間違えました、すいません』って一言送れば済むことだし、むしろ謝罪メールすら送らなくたって誰も困りゃしないわよ。もし県外の人だったらどうしたわけ? 今回はたまたま偶然同じ一高の生徒だったからよかったけど、県外の人だったらその人が思う一高の美術室行って誰もいなくて、それこそ嵌められたって怒るわよ」
「あ、そっか」
ぱちんっと胸の前で手を叩いた目の前の男を見て、ため息が出てしまう。
いや、わかるよね、普通。そういうこと。
「は?」
俯いた山田くんはぽつぽつと話し始めた。
「いや、本当に嵌めたつもりはなかったんだよ。ただ、ゆみちゃんからメール送られてきてないって言われたときは冗談かって思ったんだ。だから、もう一回送った。でもゆみちゃんは来てないって言うから、間違って送った人に気持ち悪いメール送っちゃったなって思って、謝りたくて呼び出してみたんだ。……まさか本当に来てくれるとは思わなかったけど」
そう言った山田くんは、目を細めた。
見上げたその笑った顔は、意外に悪くないかもな……と思った。
「いや、そうじゃなくてさ、あんたバカ?」
「ふえっ? ばか?」
「気持ち悪いからふえっとかやめて。あんた、ほんとばかでしょ。そんなの『間違えました、すいません』って一言送れば済むことだし、むしろ謝罪メールすら送らなくたって誰も困りゃしないわよ。もし県外の人だったらどうしたわけ? 今回はたまたま偶然同じ一高の生徒だったからよかったけど、県外の人だったらその人が思う一高の美術室行って誰もいなくて、それこそ嵌められたって怒るわよ」
「あ、そっか」
ぱちんっと胸の前で手を叩いた目の前の男を見て、ため息が出てしまう。
いや、わかるよね、普通。そういうこと。