その指に触れて
「で、やってくれる? モデル」
「え~。でも、二時間くらいじっとしてなきゃならないんでしょ? 疲れるよ」
「そんなことないよ。集中してれば二時間なんてあっという間だよ」
「それ、あんたの話でしょ」
「モデルさんもね、集中して一点だけを見つめてるとけっこう苦にならないもんだよ」
「それほどの集中力はないもんで」
あたし、短時間集中型だし。
「ねえ万梨ちゃん、ほんと頼むよ~。万梨ちゃんはほんといいモデルになると思うんだ。メガネかけてるし、顔のパーツの並びがいいし、細身だし」
なんか、すごく褒められてる気分。
メガネかけてるしって、それは余計だけど。
「……奢ってね」
「は?」
「暑いから、毎日ジュース奢ってね」
「いいの!?」
「あたし以外いないんでしょ? だったら、あたしがやるしかないじゃん」
「やった! ありがとう、万梨ちゃん!!」
山田くんがあたしの手を握ってぶんぶんと振った。
だから暑いってば。手握らないでってば。
そう言いたかったけど、山田くんの満面の笑みを見たら、なんだか言い出せなかった。
「え~。でも、二時間くらいじっとしてなきゃならないんでしょ? 疲れるよ」
「そんなことないよ。集中してれば二時間なんてあっという間だよ」
「それ、あんたの話でしょ」
「モデルさんもね、集中して一点だけを見つめてるとけっこう苦にならないもんだよ」
「それほどの集中力はないもんで」
あたし、短時間集中型だし。
「ねえ万梨ちゃん、ほんと頼むよ~。万梨ちゃんはほんといいモデルになると思うんだ。メガネかけてるし、顔のパーツの並びがいいし、細身だし」
なんか、すごく褒められてる気分。
メガネかけてるしって、それは余計だけど。
「……奢ってね」
「は?」
「暑いから、毎日ジュース奢ってね」
「いいの!?」
「あたし以外いないんでしょ? だったら、あたしがやるしかないじゃん」
「やった! ありがとう、万梨ちゃん!!」
山田くんがあたしの手を握ってぶんぶんと振った。
だから暑いってば。手握らないでってば。
そう言いたかったけど、山田くんの満面の笑みを見たら、なんだか言い出せなかった。