その指に触れて
昼間っからうるうるの目に欲情するって、あたしおかしくない?


どこの飢えた思春期の男子だ。


「じゃ、モデル料」

「は?」

「頭の回転の悪い奴だね。さっさと購買行くよ」

「万梨ちゃん、単語だけ言われてもわかんないからね」

「わかって」


眉を潜めて遥斗をじっと見ると、なぜか遥斗はふふっと笑って「わかった」と言った。


「ちょっと待ってね。片付けて帰る準備するから」

「何その、幼稚園児を宥めるような言い方は」

「万梨ちゃん、せっかちでしょ?」

「あんたがあたしをわかるには百年早いわよ」


確かにあたしはじっとしていられないせっかちですよ。しかもめんどくさがりやだし。


なんか、立場逆転した気がする……。


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