その指に触れて
「例のメールの件って何ー?」

「汐香には言ってなかったけ?」

「聞いてない。えっ、二人は知ってるの?」

「「知ってる」」

「万梨子の薄情者」

「昨日、汐香いなかったじゃん。彼氏とやりすぎて腰を痛めたとか言って」

「あ、そうか」

「彼氏とラブラブのところを邪魔するわけにはいかないからね」

「ひどい。私にとって彼氏は二の次よ。友達が一番大事」

「うわっ、そんなんだから彼氏が他の教室で嘆くんだよ。汐香は俺に冷たいんだって」

「愛情表現が下手なだけ。ちゃんと好きです」

「やってる時だけ素直なわけだ」

「万梨子、昼間っから生々しいこと言わないでよ」

「そうよ。うちらは万梨子みたいに慣れてないんだからね」


瞳と睦実があたしをじろりと睨み付ける。


「いや、あたしだって慣れてないし」

「万梨子は変態なだけよねー」

「汐香、失礼なこと言わないで」

「でもドロドロした昼ドラ好きでしょ?」

「好き。えっ、みんな好きじゃないの?」

「……だめだこりゃ」

「無自覚なわけね」


三人がそれぞれにため息を吐く。


あれ、あたし、なんか悪いこと言った?

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