その指に触れて
6.元カレが現れたら草食はどうするか
次の日からあたしは美術室に入り浸るようになった。
次の日からも、か。
しばらくはコンクールがないから適当に描いてるんだっていう遥斗と話す時間が増えた。
遥斗の前には常に何かが置かれている。
花瓶の花、石膏像のレプリカ、ぬいぐるみ、窓の外の景色を描くこともあった。
あたしと話していても、遥斗の絵は綺麗だった。
絵ができるたびに見せてもらうけど、線が全くぶれない。
絵を見る度にあたしは感嘆のため息を漏らすばかり。
「万梨ちゃん、同じ反応しかしてない」って毎回遥斗に苦笑されるけど。
「遥斗の元カノってどういう人だったの?」
髪型からモーツさんと遥斗に名付けられた石膏像のレプリカをデッサンしているとき、あたしの口からそんな言葉が出た。
なんとなく発されたものだけど、ずっと気になっていた。
嫉妬と好奇心が混じったような、変な気分だけど。
「んー? 普通の女の子だよ」
「あんたの彼女になるくらいだから、よっぽどの物好きなんだろうけど」
「失礼だな。ほんとに普通だよ。ただかなりのドSだけど」
「やっぱり」
「やっぱり?」
「あんたの相手はドMの女の子には無理でしょ」
付き合うってなったら、ノーマルな子にも難しいだろうけど。
次の日からも、か。
しばらくはコンクールがないから適当に描いてるんだっていう遥斗と話す時間が増えた。
遥斗の前には常に何かが置かれている。
花瓶の花、石膏像のレプリカ、ぬいぐるみ、窓の外の景色を描くこともあった。
あたしと話していても、遥斗の絵は綺麗だった。
絵ができるたびに見せてもらうけど、線が全くぶれない。
絵を見る度にあたしは感嘆のため息を漏らすばかり。
「万梨ちゃん、同じ反応しかしてない」って毎回遥斗に苦笑されるけど。
「遥斗の元カノってどういう人だったの?」
髪型からモーツさんと遥斗に名付けられた石膏像のレプリカをデッサンしているとき、あたしの口からそんな言葉が出た。
なんとなく発されたものだけど、ずっと気になっていた。
嫉妬と好奇心が混じったような、変な気分だけど。
「んー? 普通の女の子だよ」
「あんたの彼女になるくらいだから、よっぽどの物好きなんだろうけど」
「失礼だな。ほんとに普通だよ。ただかなりのドSだけど」
「やっぱり」
「やっぱり?」
「あんたの相手はドMの女の子には無理でしょ」
付き合うってなったら、ノーマルな子にも難しいだろうけど。