その指に触れて
「でも、すごくない?」

「何が?」

「一回くらい流されなかった?」

「流されなかった。なんかね、そういう雰囲気になると妙に冷めるというかね」

「何が?」

「あたしの気持ちが。こいつ好きじゃないわみたいな」

「そこで気づくんだ」

「下半身バカだからすぐやりたがるわけ。もう呆れる」

「強いね、万梨ちゃん」


遥斗がくすっと笑いを漏らす。


「強い?」

「普通彼氏とかいたらなんだかんだでぎりぎりまで一緒にいない? 手放したくないんだよね、彼氏とかそういう存在を」

「あたしは、別に。嫌なのにわざわざ足開いてまで傍に留めておきたいような奴らじゃなかった」


別に処女に対して強く執着しているわけでも、体のガードが異常に硬いわけでもない。


ただ、こんな奴に処女をあげるくらいなら一生処女でいてやるって思ったくらい拒否反応を示した元カレばかりだっただけの話。


あたし、どんだけ見る目ないんだ。


顔だけはなかなかだったからな、あいつら。


「すごいね。尊敬する」

「遥斗はそうやって童貞卒業したわけだ」

「……俺に話戻すんだ」

「図星でしょ。流されやすそうだもんね」

「……そりゃそうだけど」

「なんか、想像できないし。がつがつしてる遥斗とか」


でも、男だからあるのかな?


なんか失礼なことを言ってしまった気がする。


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