MYG倶楽部 〜まるで夢のような学校生活のために〜
突如目の前に巨大な影が現れた。


前方からブッ飛んで来たそれは傷が乗っていた自転車にぶつかり、傷はバランスを崩して派手に転倒した。


カラカラカラカラ……


空回りする車輪が乾いた音をたてた。


「つつつ……あ―、俺とした事が情けねぇ−」


擦りむいた膝から赤い血が滲み出ている。

ズキズキと疼くキズに、傷は顔をしかめた。


「……って、何なんだよ今のは……!」


地面に倒れている自転車の方を見ると、


「! またデカワンコ!?」


咄嗟に首輪の色を確認する。


「…………黄色……?」


暗がりでは見にくかったが、それはビル・ゲイツ率いる赤い首輪の犬でも、それに対抗していた青い首輪の犬でもない。


「……一体……どうしちまったんだよこの町は……!」


傷がそう言った時。




…………−い………お−い…!!




「! ………うげ」


「お-い!そこの人-、大丈夫ですか-!!」


ずっと探し続けていた声が、全く見つからなかった彼女が、今、傷がいる場所へと駆けてきた。








「あっれぇ〜、誰かと思えば傷じゃん。こんな所で何してんの?」







史上最凶の女子中学生、傷が今現在所属している『部活』の部長を務める超絶美少女・3年D組 桜木由奈。


―――時として人は彼女を‘鬼’と呼ぶ。


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