MYG倶楽部 〜まるで夢のような学校生活のために〜
「桜木かぁー。アイツが来たらおれ、確実に追い払われるじゃん」


ギャーギャー騒いでいる傷と大志を眺めて、久保がポツリと溢した。


「喜ばしい事ですね」


素早く琴葉が笑顔で言う。


「琴ちゃんってさ、時々キツイよな、冬杜」


「本当だね、夏杞。久保さんアッチでへこんじゃったよ」


「いいんだよ……また人知れず山城さんを追いかける楽しみが出来るから……」

「「あんたの問題点は、ストーカー行為を自分の特技だと勘違いしている事だ」」


双子が同時に言い捨てた。






「……そこの貴方。そんな所でしゃがんでいたら、他の生徒の邪魔になりますよ」







「え?」


スパアアアアァァン!!


「がっ」


「「!?」」


一番最初に分かったのは、夏杞と冬杜だった。


あまりに急な早業だったせいで、ふっ飛ばされた本人の久保でさえ、何が起こったのか理解出来なかった。






「だって俺、もうお前ん家出た後だったじゃねーか!何でわざわざ姉の朝帰り宣言を伝えに戻らなくちゃなんねぇんだよ!!」


「朝帰りとか言うなああぁぁぁぁ!!まだ中学生だぞ!!十四歳だぞ!!」


「あ、『十四歳の母』じゃん」


「淳くんまで何言ってんの!?」


「『十四歳の母』って何だ?」


「………傷、君はこれ以上薄汚い世界を覗いちゃいけない」


「?」








「…………貴方達」


「「「あ?」」」


「朝っぱらから校門の前でそんな茶番なんかして…………人として、いえ、王生中の生徒として恥ずかしくないのですか?」


「誰だお前―――」


「「傷!大志!淳夜さん!逃げろ!!」」


双子の声が、重なって響いた。


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