MYG倶楽部 〜まるで夢のような学校生活のために〜
呆れたように言う傷の脇で、ヒュンヒュンと風をきる音。


久保が持つ鎖の先に取り付けられた分銅が、円を描くように宙を舞う。


「どきやがれ後島。そこの女に思い知らせてやるよ」


「ちょっとちょっと稿一く〜ん、さすがに本気でソレ使ったらこの子ヤバいって。鎖分銅は人を殺せます」


淳夜の気の抜けた言葉に久保はもちろん耳を貸さず、殺気を含んだ視線で淳夜を睨む。


「さっきはいきなりだったから油断しちまったが……よくよく考えれば、王生中のトップ10に入るおれがこんな女子に負けるはずがねーんだよ」


「うん、確かにそれは事実だ。それはこの場にいるオレ達全員が認めよう」






「……なぁ、久保さんってそんなに強かったのか?」


「え、傷くん知らなかったの?」


「去年の番長の座を決める争いじゃ、久保さんは学年五位の好成績だったんだよ」


「ちなみに全校では七位ね。ぼく達部活のメンバーには勝てないみたいだけど、久保さんだって結構強いんだよ」


「だから、久保先輩を慕っている生徒も王生中には多いのよ。単純な人数だけで言えば、県内トップの勢力と認識されているわ」


「その事実にも驚きだけど、俺としてはこの学校で番長決定戦なんて行われてた事の方がビックリだよ」


緊迫な雰囲気の中で、呑気なお喋りをたしなむKY五名。


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