この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「入れ!」


銀にそう言われ、突き飛ばされた場所は、女子トイレ。


「うわっ!」


銀はヨロけた私の腰を抱え個室に入ると素早くカギを掛ける。


「ななな、なんなの?」

「シッ! 黙ってろ」


便座のフタの上に座った銀が自分のひざを指差し「ここに、座れ」と小声で言う。


「はぁ?」

「いいから、来い」


腕を引かれ、その反動で勢い良く銀のひざの上に尻もちをつくと「バカ、痛いだろ!」って今度は私の頭にゲンコツを食らわす自己中な銀。


「銀が引っ張るからでしょ!」


私が怒鳴ったその時、トイレのドアが開く音が聞こえた。銀が慌てて私の口と鼻を手のひらで押さえるものだから、息が出来ない。


銀は呼吸困難でバタついてる私を力尽くで押さえ込み、ドアの外に意識を集中させている。


「ねぇ、今日の合コンどこの部署?」

「んっ? 人事部の若手5人の予定」

「ホント? 人事部って結構いい男居るもんね。ラッキー」


うぐぐ……苦しい。


「そういえば、人事部の人で社内恋愛してた人が居て、それが会社にバレて左遷させられたって聞いたけど、誰か知ってる?」

「あぁ、それ、加藤部長よ」

「えぇー! あの加トちゃんペッ?」

「新人の子とデキちゃったみたいで、新人の子は退職して加藤部長は石垣島支店に移動したらしいわ」


うっそー! まさか、これがお仕置き?


ただ付き合ってただけで退職させられ、石垣島支店に移動だなんて……情け容赦ないお仕置きだ。


てか、鳳来物産って石垣島にまで支店があるんだ……なんて思いつつ、女子社員の話しに聞き耳を立てていると、あれ? 胸の辺りがモゾモゾする。


「ちょ、銀、何してんの?」


声のボリュームを下げ、口パクに近い状態で文句を言う私に、銀は平然と胸を触りながら「暴れるな。見つかるぞ」って涼しい顔をしている。


私が抵抗出来ないことをいいことに、銀の手はブラウスの中に侵入。そして、いとも簡単にブラのホックを外してしまった。


ゆっくり捲り上げられるブラウス……


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