この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「神埼さん、さっきから何ニヤけてるの?」
「……えっ? なんスか?」
「だから、意味も無く笑わないでちょうだい。気味が悪い」
橋倉さんが気味悪がるのも無理はない。今朝のトイレでの出来事が脳裏から離れず思い出し笑いが止まらないんだ。
あれからトイレの密室で繰り広げられた銀とのめくるめく甘い情事。
でも、さすがにあの場所で最後までっていうのは躊躇してしまった。銀は全然平気そうだったけど、乙女の私としてはよりが戻っていきなりトイレっていうのは……やっぱ、ヤダ!
しかし、一つ気掛かりなのは首筋にハッキリクッキリ残っているキスマーク。ブラウスの襟を立ててなんとか隠してるけど、めっちゃ不自然。一日中、首を45度傾けて過ごしていた。
その日の夜、銀が『エデンの園』に飲みに来て、いつも通り、華の相手をしてくれてる。
相変わらずオイチョカブで盛り上がっているが、もうそろそろ華がお風呂に入る時間だ。
「華、お風呂入ろ?」
どういう訳か返事がない。
「聞こえてるのに、なんで返事しないの?」
すると華は顔をしかめて首を振る。
「ヤダ! 華、ミーメさんより銀様と入りたい」
ゲロゲロ……なんちゅーこと言うのよ!
「バカなこと言ってんじゃないの。ほら、立ちなさい」
「ヤダヤダヤダ! 銀様がいい~」
暴れる華を抱き上げようとした時、銀がサラッと言う。
「俺はいいぞ」
「ホント?」
華は満面の笑みを浮かべ、幸せなそうに銀の顔を見つめている。
「だが、一つ条件がある。俺にオイチョカブで勝ったら入れてやる」
私も、おそらく銀も、華が勝つなんて思ってもなかった。だけど、今まで一度も勝てなかった華が銀に勝ってしまったんだ。
「銀さまぁ~カモーン」
恐るべし……ハナコ。