この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
――それから数日後……
私は会社では常に周りを気にして、銀との関係がバレないよう細心の注意をはらっていた。
なのに銀ときたら、皆の前で私の肩を抱いたり、私の飲んでた缶コーヒーを平気で飲んだり、ランチの時間になると廊下で私のこと待ってたり……
そして――「神埼、部長室へ来い」
まただ。用も無いのに、四六時中私を部長室に呼びつける。
銀と居れるのは嬉しいけど、他の社員の目が気になってしょうがない。
「銀、会社であんまり一緒に居ない方がいいよ」
「バカ! 何意識してんだ。ミーメは俺の補佐なんだぞ?」
「でも、前にトイレで聞いた話し……あの左遷させられた加藤部長って、銀の知ってる人なんでしょ?」
「あぁ、加藤部長ならミーメも知ってるだろ? 俺と一緒にお前の面接した男だ」
「えぇーっ! あのバーコードさん?」
私に社内恋愛禁止だって教えてくれたあのバーコードさんが"お仕置きしゃいますよ"なんて、言ってたのに、自分がお仕置きされちゃったんだ……
恐ろしい。この会社、何が起こるか分かんない。
「心配すんな。ミーメがボロ出さなけりゃバレることはない」
その自信は、どこからくるの?
銀を見てると私が神経質なのかと勘違いしそうになる。私はごく普通。銀が大胆過ぎるんだ。
それより、私には気になることがあったんだ…
「銀、今度の土曜、銀の家に遊びに行っていい? 華は保育園お昼までで、午後はママと買い物行くって言ってたから1日ヒマなんだ~」
「……土曜は用事がある」
「そう……なんだ」
銀、やっぱり変だよ。私を家に連れて行きたくないみたい。
もしかして、6年前の彼女とまだ一緒に暮らしてるとか? でも銀は今までもこれからも彼女は私だけだって言ってくれた。ムムッ……そもそも、それが嘘じゃない。だって彼女居たもん。
「分かった。もういい!」
部長室を飛び出しデスクに戻っても怒りは納まらずイライラしていた。
すると後ろの席の女性社員たちの話し声が聞こえてきた。