この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
両親に捨てられた私にとって、娘を思い涙を流す横田さんの姿は心を和ませるものだった。
すっかり打ち解けた私たちは夜が明けるまで飲み明かし、お互いのことを語り合った。
「今度の土曜日、珍しく予定が入ってないんだよ。ミーメちゃんが良かったら食事でもどう?」
「食事……ですか?」
土曜日……銀に断られた日だ。どうせ家に居ても退屈なだけだしな……
「無理にとは言わないから」
「あ、いえ。行きます」
「そう、嬉しいなぁ。じゃあ、10時頃迎えに来るね」
「はい」
銀のこともあってイライラしてたからストレス発散のつもりで横田さんの誘いを受けることにした。
それから私は、仕事以外で銀と関わることを避けた。私の質問には答えず、自分勝手なことはがり言う銀にへきへきしてたんだ。
――そして、土曜日
約束の時間ピッタリに迎えに来てくれた横田さんと、まずはドライブ。アウトレットでお買い物をした後はイタリアンのお店で昼食。
もちろん支払いは全て横田さんだ。
「こんなに一杯買ってもらって……華の分まで、すみません」
「気にしないでいいから。若い女の子と買い物なんてしたことないから楽しかったよ」
本当に嬉しそうに笑った横田さんだったが、食後のコーヒーを飲み終えると少し真面目な顔で話し出す。
「ミーメちゃん、少し質問してもいいかな?」
「はい、どうぞ」
「女ひとりで華ちゃんを育てて大変じゃない?」
「えっ?」
そんなこと聞かれるとは思ってなかったからキョトンとしてると横田さんは更に真剣な眼差しで私を見つめる。
「支えてくれる人……居るの?」
支えてくれる人?
「彼氏、居るのかな?」
一瞬、銀の顔が浮かんだ。でも、銀は彼氏なんかじゃない
「いえ、居ません」