この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

あぁ……ダメだ。この時点で既にアウト。


テンパって挙動不審の私に、横田さんは親切にマナーを教えてくれる。けれど、慣れない私はフォークを床に落としてしまった。


「あ、ミーメちゃん、自分で拾わなくていいから」

「えっ?」


そこに現れたのは、さっきのギャルソンさん。私に新しいフォークを差し出すと素早く落ちたフォークを拾う。


なんだコレ、まるでお姫様扱いじゃない。こんな待遇初めてだ。


すっかり気分が良くなり、調子に乗ってワインをガブ飲み。少し酔ってくると今まで多少は遠慮していた横田さんにタメ口で意見しだす。


人生はなんぞや! などと偉そうにウンチクを語ったり、まだ入社して1ヶ月そこそこなのに、営業の極意なんかを披露する。


「下手に出てばかりじゃダメなんだよな~時には強引な営業も必要なワケよ」

「なるほど」


そんなこと言われなくても分かってるはずの横田さんなのに、私に合わせて相づちを打ってくれてる。


でも、酔っ払いの私はそんなこと全く気づかず喋りたおす。


「そろそろ帰ろうか?」

「はぁ? 何言ってんすか? 夜はこれからじゃない! もっと飲もうゼーット!」

「ゼ……ット?」

「次、行きましょー!」

「僕はいいけど……華ちゃんが待ってるんじゃないの? 一応、電話しといた方がいいんじゃない?」


大丈夫だと言う私に、横田さんは電話しろと譲らない。仕方なくキャサリンママの携帯に掛けると、なんと銀が来て華と遊んでると言う。


銀……


今日は銀の顔見たくない。


私は「遅くなる」とママに告げ、携帯を切った。


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