この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
立ち直れないくらいショックなんだけど……
銀のことでイラついてたからって、その夜に他の男の人とチョメチョメしちゃうなんて、相手が横田さんっていうこともテンションを下げる。
軽い女だと思われたかもしれない……
「あの、横田さん。私、いつでも誰でもOKってワケじゃないんですよ。昨日は、たまたま酔ってたからで……」
「そうなんだ。じゃあ、僕はラッキーだったんだね? もう一度して欲しいと思ってたけど、ダメかな?」
「ひぇ~! もう一度?」
「そう、ミーメちゃんのマッサージ最高に気持ち良かったから」
マ、マッサージって……なんのこっちゃ?
「揉み方はもちろん、力の入れ具合とか凄く上手だったよ。でも、なんと言ってもツボを心得てる」
「……ツボ?」
一気に脱力。そして、放心状態。
「もう少しでチェックアウトの時間だよ。シャワー浴びてきたら?」
笑顔の横田さんに見送られ、夢遊病みたいにフラフラしながらバスルームに向かう。
熱いシャワーを浴びると徐々に記憶が鮮明になってきて、後悔の念が胸をキリキリと締め付ける。そしてバカな自分にほとほと嫌気がさす。
でも、シてなかったんだ。良かった。
バスルームから出ると急いで身支度を済ませホテルを後にする。
横田さんの車で家に送ってもらう途中、彼は終始ご機嫌で、昨夜のことを話していた。
「ラウンジで飲んだ後、ミーメちゃんをタクシーで帰そうと思ってホテルを出たんだよ。そうしたら、ミーメちゃん『帰りたくない』なんて言って大暴れしたんだよ。覚えてない?」
「はあ……全然」
「僕と一緒に居たいなんて言ってね、タクシーをボコボコ叩き出して……そりゃ~凄かったよ。タクシーの運ちゃん怒らせちゃって、ホント困った」
「あぁぁ……すみません」
「いいんだよ。僕は嬉しかったんだから」
「えっ?」
「そんなに僕と居たいと思ってくれてたなんて……感激だな」
横田さん……
なんだか凄い誤解させちゃった様な気がする。
別れ際「また会ってくれるよね?」横田さんはそう言って帰って行った。