この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「私は……銀の彼女じゃないよ」
「なんだそれ?」
「家にも連れてって貰えない私が彼女のワケないじゃん」
そう言って、じんわり涙が滲んだ瞳で銀を見つめると彼は少し戸惑った表情を見せる。
ほら、やっぱり困ってる。
「ホントのこと言って? 彼女、居るんでしょ? こんなとこで私のこと怒鳴ってる暇があったら、彼女とデートでもすれば?」
精一杯の強がり。
「銀、もういいよ。私のことは、もういいから……」
これ以上、一緒に居たら、私、勘違いしちゃうよ。銀が私のこと想ってくれてるんじゃないかって。引き返せる内に離れたい。今なら、まだ間に合う。
けれど銀は、無言で私をただ訝しげに眺めているだけ。
「なんか言ってよ……」
別れの言葉を催促したつもりだった。なのに、銀の口から発せられた言葉は、またしても意味不明。
「なに悲劇のヒロンイぶってんだ。それより俺は腹が減った」
「はぁ?」
「行くぞ。来い」
「どこ行くの?」
問答無用でお店から連れ出されると近くの駐車場に止めてあった銀の車に押し込まれる。
マジ? この車、ポルシェ911ターボSじゃん! 2200万はする高級車だ。
ボディーカラーはシックなプラチナシルバーメタリック。
銀、こんな車買えるってことは、やっぱお金持ち?
そんなことより、なんなの? これって、完全に拉致じゃん! 私の意志なんて無視だ。
ムカついたから、車の窓から大声で叫んでやった。
「誰かぁ~助けてぇ~さらわれるぅ~」
すると銀の鉄拳が見事に私の脳天にヒット!
「ぐぐっ……」
それでなくても頭痛いのに、目の前でお星様がキラキラしてる。
「お前ってヤツは……絞め殺すぞ!」
怒り狂った銀にマジで首を絞められ失神寸前。