この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「銀の……バカ」
「な、いきなりバカとか言うな!」
「バカにバカって言って、何が悪いの?」
「いい加減にしろ!」
座ってる銀にいきなり腕を引っ張られたものだから、体制を崩した私の体は勢い良く銀に向かって突っ込んでいく。
前のめりになりながらデスクに左手をつき、かろうじて踏み止まった。
「危ないじゃない。銀!」
そう言いながら彼をキッと睨む。
「社内でその呼び方はやめろ。俺とお前は、上司と部下なんだからな。他の社員に示しがつかない」
他の社員が居るオフィスとは薄いパネル一枚で隔たれた部屋。銀は小声で、そう言った。
「そんなの分かってる。でも、どうして私を採用したのよ? 履歴書まで書き換えたりして……意味分かんない」
すると銀は私の腕を離し、ため息混じりに話し出す。
「あのな、あんな履歴書で雇ってくれる会社なんて、絶対ないぞ! 高校中退ってだけでもヤバいのに、ここ1年の間に変わった仕事が8件って……正直に書きすぎなんだよ。
仕方ないから俺が書き直してやったんだ。感謝しろ!」
「な、感謝しろ? そんなことしてなんて頼んでないし、余計なことしないでよ!」
「余計なこと?」
銀の表情が曇り、気まずい空気が流れた……何も言わず腕を組み眉間に深いシワを刻む。
あぁ……ちょっと言い過ぎたかな?