この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「あ、あのーでも、仕事決まったことは嬉しかった。有難う」

「ふふん」


銀は私の言葉を聞き、目を細めてニヤリと笑う。


「そうだ。俺に対して、その感謝の気持ちを忘れるな」

「はぁ?」


そうだった……コイツは普通の人間じゃなかったんだ。


良く言えば、超ポジティブで、信念を曲げな真っ直ぐな男。悪く言えば、史上最悪の自己中で、常に我が道をばく進する理解不能男。


「ねぇ、それより、あんな嘘の履歴書なんて書いてバレたらどうするの?

帰国子女だなんて、絶対おかしいよ。それに、えっと……ホンジュラス共和国って、どこにある国なのよ?」

「心配するな。たとえ嘘でも、つき通せばそれが真実になる。自分は帰国子女だって、暗示をかけろ」

「ぐっ……」


出来るか! そんなこと!


「いいか? 考えてみろ。平凡にメジャーな国から来たなんてことにしたら、この会社には留学したヤツが腐るほど居るからな、お前の演技力じゃあ騙しきれない。

ホンジュラスは、あんまり知られてない国だから、お前でも適当に誤魔化せるだろ?

よく覚えておけ。ホンジュラスは北米にある国で、首都はテグシガルパだ」

「テグ……シガルパ?」


3分で忘れそう……


でも一応、コイツなりに考えてくれたってことなのかな。感謝するべきなのだろうか……



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