この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「どうしてそんなに私のこと心配してくれるの?」

「あ……」


口ごもり、慌てた様にお猪口のお酒を飲み干すおっちゃん。


「ねぇ、どうして? おっちゃんと私は無関係じでしょ?」

「う、うん。まぁ、そうなんだけど……君の話しを何度も聞かされていたからかな……他人の様な気がしなくてね」


私から視線を逸らす姿に、めっちゃ違和感を感じる。


「なんか、おっちゃん変だよ」

「まいったな~美衣芽ちゃんは手厳しい。今日の所は、この辺で許してもらえないかな?」


辛そうなおっちゃんの顔を見てるとなんだか可哀想になってきた。


仕方ないな。さっき約束したばっかだし、ちゃんと話してくれるって言ってたから許してやるか。


「分かった。今日はもう聞かないよ」


苦笑いを浮かべ、頭を掻くおっちゃん。その胸元でキラリと光るペンギンのネクタイピンが目に留まる。


「そのペンギン、いつもしてるの?」

「んっ? これかい? 可愛いだろ? 息子からのプレゼントなんだよ」

「息子さん?」

「あぁ、息子はペンギンが大好きでね。私の誕生日のお祝いに選んでくれたんだ」

「そ、そう……」


ヤバ~…危うく趣味悪いって言うとこだった。


「で、息子さんはいくつなの?」

「6歳になったばかりなんだよ」

「はぁ~? おっちゃん、6歳の子供が居るの? いったい、いくつの時の子よ?」


おっちゃんは照れながら「えっと、60歳の時の子供でね」なんて言うからビックリ仰天!


「ろろろ、ろくじゅう? よく奥さん産む気になったね~」


えらい好きモンだな。60歳でもスるんだ……てか、産んだ奥さんに拍手喝采だな。


おっちゃんは恥ずかしそうにモジモジして、再婚で妻は若いと教えてくれた。


はぁ~…人は見かけによらないとはよく言ったもんだ。人生エンジョイしてるじゃん! 御見それしました。


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