この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

再婚した奥さんが41歳ってことにもビックリ。


年、離れすぎだろ~芸能人並だ。でもまぁ、お互い幸せならいいのかな……


でも、確かに、この年にしては背も高いし、顔も若けりゃ、そこそこイケてそうだけど……でも、やっぱり納得いかない。


おっちゃんの夜の営みを想像して、思わず天ぷらを吹き出しそうになる。そして、彼を見る目が変わってしまったのは、言うまでもない。


おっちゃんのありえねぇ~私生活を知ってしまい、お父さんのことなど、すっかり頭になかった。


意外な話題で打ち解けた私達。美味しい天ぷらをしこたまご馳走になり、お酒も程よく回って私は上機嫌。


「おっちゃん。今日は、ありがとね~天ぷら最高に美味しかった!」

「いやいや、美衣芽ちゃんに喜んでもらえて私も嬉しいよ」


『エデンの園』までタクシーで送ってもらい、もう一度お礼を言ってタクシーを降りようとした別れ際、おっちゃんが漏らした一言に私の動きが一瞬、止まる。


「こんなとこに住んでたのか……分からなかった訳だ。苦労掛けてしまった様だな……」


その声は、とても小さくて、おっちゃんにすれば独り言だったのだろう。


でも、その言葉を聞いてしまった私の違和感は時が経つにつれ大きくなっていったんだ。


あの言い方はおかしい。知り合いの娘に言う言葉じゃない。それはまるで……我が子を気遣う様な言葉。


まさか……


そのとんでもない想像を何度も打ち消す私だったが、廻り廻って、またそこに辿り着く。


もしそうなら、おっちゃんが誤魔化したことも説明がつく。自分ひとりでは決められないと言った言葉の意味も……


再婚し、子供まで生まれ、幸せの絶頂にある今の生活が大事なのは当然。でも、私のことを知ってしまって、知らん顔出来なかった。


ずっと、私のこと探してくれてたんだとしたら……


いやいや! 飛躍しすぎだ。第一、話しが出来過ぎてる。たまたま階段でぶつかったのが、20年間離ればなれになってたお父さんだったなんて、偶然にもほどが有る。


今時、そんな白々しい話し、三流のドラマでも見たことない。


でも……


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