この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

ポルシェに負けた……私、彼女だよね?


仕方なくエレベーターで1階に上り、エントランスを足早に突っ切る。


ビルを出てタクシー待ちをしてると一台の車が私の前で止まった。


ゲッ! 変態赤毛ヤローだ!


「よう! 桃尻ちゃん。こんなとこで、立ちんぼして何してんの?」


立ちんぼ……? この人が言うと、凄くヤラしく聞こえるのはナゼなんだろ?


「タクシー待ってるんです」

「ふーん、どっか行くの?」

「ちょっと、そこまで」

「そこまでって、どこ?」

「どこでもいいでしょ!」


もう! しつこいなぁ~


ちょっとイラっとしながらタクシーが来ないか身を乗り出すと赤毛さんの口から意外な言葉が……


「なんなら、送ってやってもいいよ」

「えっ? でも、その車って会社のでしょ? 私用で使ったら怒られるよ」


すると赤毛さんは、チッチッチッ! っと人差し指を振り「俺を誰だと思ってんの?」って得意げに笑う。


「専務のドラ息子でしょ」

「な、"ドラ"は余計だ! 人がせっかくタクシー代浮かしてやろうと思って親切で言ってやったのに……失礼なヤツだ」


タクシー代が浮く?


「おぉ! そうじゃん! 赤毛さーん、とっても優しいくて親切なイケメン、乗っけてってー」


金が絡めば、変態でも素敵に見えるから不思議だ。


「ちぇっ、調子のいいヤツだ……」


ご機嫌で車に乗り込み、銀に教えられた居酒屋の名前を伝えていざ、出発!


「なぁ、それって、どういう集まりなワケ? もしかして、可愛いギャルとか来るの?」

「まぁね。でも、私が一番可愛いかもね」


当然そーだろ?


「な~んだ……ショボい集まりってことか」

「なんですと~!」



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