この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

てな感じでくっちゃべっていると渋滞にハマった……


「もぉ~全然動かないじゃん!」

「もうすぐそこだけどな……」


そう言いながら首を伸ばして前を眺めてる赤毛さんにお礼を言って、車から降りようとドアを少し開けた時だった。


「待てよ」


私の腕を強く引っ張ってくる。


「な、何よ!」

「あれ、どっかで見たヤツだよな?」


赤毛さんが指差した先には、腕を組み不機嫌な顔した銀の姿があった。


ヤバッ! 銀ったら、なんで外に居るのよ。


「確かに、アイツと桃尻ちゃんなら、アンタの方が可愛いよな? とんだギャルだ」

「あぁ……あのですねぇ、赤毛さんは誤解していますよ。一緒に飲むのは、沢村部長だけじゃないんだから……他の社員も居るし……」

「へぇ~会社の飲み会ってこと?」

「そうそう! そうなのだ!」

「じゃあ、俺が行ってもいいよな?」

「はぁ?」


なんか、とんでもない展開になってきた。


そうこうしてる間に、車は徐々に銀に近づいて行き、とうとう目の前に停車した。


「沢村部長、俺も飲み会参加させてもらうよ」

「断る」


銀の顔が尋常ではないくらい引きつってる。


「桃尻ちゃんとデートだって言うなら、俺も遠慮するけど、会社の飲み会なら問題ないだろ?」

「……勝手にしろ!」


あぁ~恐ろしや~間違いなく、銀に絞め殺される……


ビクビクしながら居酒屋の中に入るとテーブル席で待っていた橋倉さんがキョトンとした顔で私たち3人を眺めていた。


「椎名部長もメンバーに入ってたんですか?」

「飛び入り参加だよ。ヨロピク~」


再び、銀の顔が引きつる。


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