この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
それから1時間ほど飲み、盛り上がらないまま居酒屋を後にした。
銀は赤毛さんのことで終始機嫌が悪く、橋倉さんもほとんど喋らなかった。
これって、私のせい?
橋倉さんが乗ったタクシーを見送り、銀とふたりっきりになるとなんとも言えない気まずい空気が流れる。
「おい、なんか言うことあるだろ?」
「へっ?」
「俺は、なんて言った?」
はて? なんか言われたっけ?
「ニンジン頭と関わるなって言ったよな?」
「あぁ、それか……」
私の反応に銀は眉をしかめ呆れた様にため息を漏らす。
「お前の脳みそはどうなってんだ? その前に、脳みそあんのか?」
「失礼な! 立派なのあるよ!」
「じゃあ、ちっとはソレ使えよ。ニンジン頭とヘラヘラしながら現れやがって……何考えてんだ! ボケ!」
「あのね、それは銀が悪いんだよ。銀が私のこと置いてっちゃうから、赤毛さんに送ってもらうことになったんじゃない」
「なんだそれ? どうしてそこでニンジン頭が出てくる? こっちはな、方向ド音痴なミーメを心配して店の前で待っててやったのに、俺の好意を無にしやがって……」
えっ……?
「心配してくれてたの?」
「当然だ。大事な女なんだからな」
少し照れながら、そう言った銀の顔にキュン!
「ヤダ、銀ったら」
思わず銀に抱きつき、飛び上がって彼の頬にチュッってすると「中途半端なキスしてんじゃねぇよ」なんて言いながら、ムスッとした顔のまま私を抱き上げ、ゆっくり唇を重ねてくる。
「ぎ……んっ」
「他の男なんて見るな。俺だけ見てればいいんだよ」
「他の男なんて見てない」
銀の独占欲が、私のMの部分を刺激する。
「どこ行きたい?」
「……そんなこと、聞かないでよ」
「じゃあ、帰るか?」
どこまでも意地悪な銀。
「ヤダ、帰んない……」