この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

赤毛さんの腕の中で私は放心状態。


銀に彼女が居る。私は遊ばれてる。


赤毛さんの言った言葉が頭の中で何度もリフレインしていた。


「なぁ……」


ゆっくり赤毛さん体が離れ、彼の顔が近づいてくる。


「俺と、付き合えよ」


キスされるんだろうな……そう思いながら、彼の淡いブルーの瞳を見つめた。


もう、どうでも良かった。キスしたいなら、すればいい。抱きたいなら、抱けばいい……


この6年、私は銀への想いを封印し、必死で華を育ててきた。また会えるなんて思ってもなかったし、元サヤなんて望んでなかった。


でも、再会して、また愛し合って、今度こそ幸せになれると喜んだ矢先、これだ……


期待した私がバカだったんだ。私みたいな女を銀が本気で好きなってくれるワケないのに……また、同じことの繰り返しだ。


一筋の涙が頬を伝い零れ落ちると赤毛さんの手の甲の上で音も無く弾け散る。


すると、なぜか赤毛さんの動きが止まったんだ。


「キス……しないの?」


私の問に答えず、唇を噛み下を向く赤毛さん。


「……もう帰れ」

「えっ?」

「いいから、帰れ!」


人が変わった様に私の背中を乱暴に押し怒鳴る。


「どうしたの?」


俯いたままの赤毛さんは顔を上げることなく、搾り出す様な声で「頼むから、帰ってくれ」そう言うと私に背を向けた。


「分かった。帰る」


赤毛さんの態度がどうして急に変わったかなんて気にもならなかった。何もかも、全てがどうでも良くて投げやりになってた。


家に帰っても何もする気になれず、華の笑顔を見ても笑えなかった。


何も考えたくなくて、早々布団に入り寝てしまったせいか深夜に目が覚め中々寝付けない。時計を見ると午前2時。


ため息をつきながら寝返りを打つと目の前の携帯が"着信あり"と点滅してる。


銀からだった……

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