この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「もう話しは終わったんだ」
「全然、終わってない!」
「そーだ! そーだ! 田村さん、本当のこと言ってやれよ」
すると田村さんは頬を染め小声で言う。
「関係は……あったわ」
「えぇっ!」
なんだかんだ言って、結局あったんかい!
「そら見ろ! 結局、ヤってんじゃないか」
「人聞きの悪いこと言うな。ただのスキンシップだよ。それに、俺は田村君に言ったはずだ。俺には好きな女が居るってな」
「好きな女?」
「お前だよ。ミーメ。でもな、田村君はそれでもいいから抱いてくれって……そこまでの覚悟で迫られたら、断れねぇだろ?」
「はぁ? 断ればいいじゃん!」
「バカ! 色々、大人の事情ってもんがあるんだ。しかし、安心しろ。俺と田村君は最後まではシてない。
前にも言ったろ? 俺はミーメ以外の女には感じないって。田村君には悪いが、出来なかった……だよな? 田村君」
赤く腫れた目に再び涙を溜めた田村さんがコクリと頷いた。
「こんなこと知られたら、田村君に恥かかせることになるし、可哀想だから言うつもりはなかったんだが……」
「部長……」
田村さんがその場にしゃがみ込み嗚咽を繰り返す。
「おい、ニンジン頭。お前が蒔いた種だ。ちゃんと刈り取れよ。田村君のこと慰めてやれ」
そう言うと銀は私の手を引き歩き出す。そして、そのまま地下の駐車場へ向かうとポルシェに私を押し込んだ。
「銀……」
「俺より、ニンジン頭の言うことを信じたんだな」
「あ……」
「まぁいい。でもな、これが最後だ。今度こんなことがあったら……」
「……あったら?」
「もう、抱いてやらねぇ~」
「あら? そんなこと言っていいの? 銀は私以外の女はダメなんでしょ?」
私が得意げにそう言うと銀は横目でこちらをチラ見した。
「女はダメでも、男ならいいかもな」
一瞬、銀が男と絡んでる場面を想像して悪寒が走る。
男に取られるのだけは嫌だ。そんなのシャレになんないよ。
「銀、それだけはヤメテ~」
ちなみに……何故か想像した銀の相手は赤毛さんだった。このことは、死んでも言えない。