この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
どこか食事に行くんだと期待してたのに、車が止まったのは『エデンの園』の前。
「銀も寄ってくの?」
「あぁ」
車を降り、扉の前に立つと"本日貸切"の張り紙がしてある。貸切なんて珍しいな……そう思いながら扉を押すと、なぜか中は真っ暗。
「あれ?」
暗闇に目を慣らそうと足を止めキョロキョロしてると……
何かが弾ける音がけたたましく響き、その音と同時に明かりがつく。
な、何?
「ミーメちゃん、ハッピーバースデー! お誕生日おめでとー!」
たん……じよう……び?
「あぁっ! そうだ。今日は私の誕生日だったんだ」
「ふふふっ……やっぱり忘れてた」
キャサリンママが得意げに笑うと私を抱きしめる。
「ミーメちゃん。おめでと」
「あ、ありがと……ママ」
まさかこんなサプライズがあるなんて思ってもなかった。自分でさえ誕生日を忘れてたんだもん。でも、そんな皆の気持ちが嬉しくてウルウルしちゃう。
「さあ、主役が来たから食べましょ!」
改めて辺りを見渡すと、まるで小学生のお誕生日会みたいに手作りの飾り付けがしてあって、壁に貼られた大きな紙には皆からのお祝いのメッセージが書いてあったりする。
なんか、こっ恥ずかしい……
ソファーに座ると華が駆け寄って来て、私に小さな花束を恥ずかしそうに渡してきた。
「ミーメさん、おめでとう。これ、華からのプレゼントだよ」
「華まで……ありがとね」
もう涙腺は緩みっぱなし。涙が滝の様に溢れ出す。
ミミさんお手製のケーキは本格的で、ローソクの火を吹き消すと再び割れんばかりの拍手が鳴り響く。
「ありがとう。皆、ホントにありがとね」
何度も頭を下げ、お礼を言ってるとママが私の横に座り、隣の銀を指差しながら小声で言う。
「今日のパーティーの仕掛け人は、銀ちゃんなのよ」
「えっ? 銀が?」
「そう。もう一ヶ月も前からお店が終わる頃、ミーメちゃんには内緒でこっそりやって来て、この飾り付け作ってたのよ」
「うそ……」