この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「嘘言ってどうするのよ。そりゃ~銀ちゃん、一生懸命でね。
仕事で疲れて眠そうにしてても、ミーメちゃんの為だからって……ミーメちゃんがヨダレ垂らして寝てる間に頑張ってたんだよ。
その姿に、私……泣けてきてさぁ~なのにアンタったら、他の男とキスなんかして! 大バカだよ!」
「あ……」
「ホントはね。あんなことがあったから、銀ちゃんも気分悪いだろうし、今日のコレは中止にしようかと思ったんだけど、銀ちゃんがどうしてもするって聞かなくてさぁ~
それに、パーティーの費用も全部銀ちゃんが出してくれたんだから、彼に感謝しないとバチが当たるよ」
銀が、私の為に……
余りの感激に我を忘れ、ダイブするみたいに銀に跳び付く。
「ぎーん! ありがと~大好きだよー銀!」
「なんだ、もう酔ったのか?」
「違うよぅ~ごめんね。私、なんにも知らなくて……銀みたいな優しい人居ないのに」
「分かった。だから、離れろ。苦しい……」
「ねぇ、確認の為に聞くけど、今日は銀のおごりってホント?」
「あぁ」
その言葉を聞き、銀以外の全員がニンマリする。
「そう~じゃあママ、ドンペリ開けちゃう?」
「あら、いいわね」
「なっ、お前ら、シバくぞ!」
でも、文句を言いながらも銀はドンペリをご馳走してくれた。普段、口にすることなどない高級なシャンパンに異様な盛り上りを見せるおかまちゃん達。
すると、それをシラけた目で眺めてた華が銀の膝の上によじ登り、スリスリと甘えだす。
「ねぇ~銀さまぁ~華の誕生日も、もうすぐなんだよ」
「ほぉ~そうか」
「私の時も、お祝いしてくれる?」
「あぁ、いいぞ」
「ヤッター! じゃあ、デートのスケジュール考えとくね」
嬉しそうに銀の頬にチュッとすると膝から飛び降りる。
「で、この前出した宿題は出来たのか? それが出来なかったらデートは無しだぞ」
「あ、分かってる。今からやるも~ん」
華は銀に手を振りながら店の奥へと駆け出し、そのまま部屋へ行ってしまった。
「ねぇ、宿題って何?」
「んっ? 宿題か? "リーマンショックにおける世界経済の動向"についての簡単なレポートだ」
「……?」
どうしてリーマンさんがショックを受けたら世界経済が動くんだろう? てか、リーマンさんって誰よ? 華は知ってるのかな?
「ねぇねぇ、リーマンさんてどこの人?」
「はぁ?」
「もしかして、ハリウッドスターとか?」
「……ミーメ」
「はい」
「どうやったら、そこまでアホになれるか教えてくれ……」