この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「あ、ミーメか……」

「ミーメさん、お帰り」

「うん。ただいま」

「じゃあ、俺は帰るとするか」

「えっ? 銀、もう帰るの?」


なんか妙だ。銀も華も私の顔を見ようとしない。


「どうかした?」


私の問いかけにふたり揃ってブンブンと首を振る。


「今日は疲れたから、帰って寝るよ」

「あ、華も、もう寝る」


そそくさと銀が部屋を出て行くと華は一心不乱に布団を敷きだす。


「華?」

「じゃあ、ミーメさん。おやすみ」

「あ、おやすみ」


なんたろう? この違和感。




――次の日


華に昨日のデートのことを聞くと、一言「楽しかった」と言うだけで多くを語ろうとしない。


「まさか、銀に変なことされてないよね?」

「変なことって?」

「うっ、だからぁ~おっぱい触られたとか……色々と……」

「触られたよ」


うそでしょ?


「マジ?」

「一緒にお風呂入って洗ってもらったんだもん。当然じゃん」

「あ、それか……」

「ほらほら、ミーメさん。ご飯粒がお顔に付いてるよ。しっかりしてよね」

「……はい」


私の考え過ぎかな? なんか引っ掛かる。


会社に出社し、銀を観察してみたが、いつもと変わらずクールで男前だ。


非常階段でのキスも、いつもと同じで甘くてトロけそう……


「ねぇ、銀、華とのデートはどうだったの?」

「どうとは?」

「いや、だからぁ~華ったら、あんま元気無かったから……」

「ふーん」


ふーんって、気の無い返事だなぁ~


「心配するな。ちゃんと、ラブラブしてやったから嬉しくてポーッとしてんじゃねぇのか?」

「なら、いいけど……」


< 183 / 278 >

この作品をシェア

pagetop