この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
午後からは、銀の補佐で外出。
「昼飯食ってから機嫌悪くねぇか?」
運転席の銀がチラッと私を見ながら呟く。
「別に悪くないよ」
ホントはおっちゃんのことで、かなり頭にきてた。
「分かった! 今日はまだ、キスしてやってないもんな。それで欲求不満になってんだ?」
「そんなんじゃないって……」
「嘘つくな。変態ミーメ!」
「嘘なんてついて……うぅっ」
車が信号待ちで止まった瞬間、銀の思いがけないキスで言葉を遮られる。
「ヤダ、ぎ……んたら、私、そんなに欲求不満じゃ……んっ……ない」
「俺がしたかったんだよ」
柔らかい唇を押し付けられながら、そんなこと言われたら、もうダメ。
「私だって……」
器用に動く銀の舌が私の舌を絡めるとほんのり甘い香りがする。
「飴、食べた?」
「あぁ、イチゴ味のやつ」
銀がイチゴの飴食べるなんて、可愛過ぎてキュンとする。
もう一度、唇を重ねると銀の舌から私の口の中にコロンと何かが落とされた。
イチゴ飴?
信号が青になり、離れていく銀が「甘いキスだったろ?」って笑う。
「うん」
すっかり機嫌が直り、ポッポしてると銀が再び私の怒りを呼び起こす余計なことを言い出した。
「で、轟ってオッサンのことだが、気になるから調べてみる」
「もぉ~おっちゃんの話しなんてしないでよ。あんな産業スパイのことなんてどうでもいいよ」
「産業スパイ? なんだそれ? 詳しく聞かせろ」
仕方なく私の妄想話しを得意げに語ると今度は銀の機嫌が悪くなる。
「お前は、自分を何様だと思ってる? 変なドラマの見すぎだ。ボケ!」