この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
●ありえない出会い
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PM 9:30
春とはいえ、まだ夜は肌寒い4月。私はスーパーの総菜部のバイトを終え、一人公園のベンチに座りお弁当を食べていた。
毎日、売れ残ったお弁当を貰ってこの公園で食べるのが私の日課になってたんだ。
でも、今日の私はツイてる!
今晩のお弁当は、超リッチ!"豪華、花見2段弁当"980円ナリ"マジうめぇ~
私が家に帰らず、こんなとこで夕飯を食べてるのには、悲しい訳があったりする。
帰りたいけど、帰れない……
私は母親とふたり暮らし。父親は私が3歳の時に借金をシコタマ残して失踪。それ以来、どん底の貧乏生活が始まったんだ……
頼りの母親は、これまたいい加減で、美人ということだけが取りえのズボラ女。
次々に男を作ってはアパートの部屋に引っ張り込んで、年頃の娘の前だろうとお構いなしで男とイチャイチャ。
私は自然と家から遠ざかってしまった。学校が終わったらバイトに直行。そして、この公園で冷たいお弁当を食べ、深夜にアパートに帰って母親たちが起きる前に学校に向かう。
よくこんな環境でグレないものだと我ながら感心してしまう。
私って、なんて健気でいい子なんだろう。
しんみりしながらお弁当を半分ほど食べた時だった……
誰も居ないはずの公園なのに、やたら視線を感じる。何気なく辺りを見渡すと背後から突然、低い男の声がした。
「その弁当……俺にも食わせろ」
「わぁお!!」