この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

呆然としてると隣の橋倉さんが大声を上げた。


橋倉さんだけじゃない。フロア全体がザワめき出し、悲鳴と怒号が飛び交う。


「か、神埼さん。これ……」


橋倉さんのパソコンにも私と同じメールが届いていた。


うぅん。この雰囲気から察するとこのフロア全員に送られてるんだ。


華のことがバレた……そう思い、恐る恐るメールを開く。


食い入るように画面を見つめると数枚の画像が現れ、その一つ一つにコメントが付けられていた。


《9月15日(日)銀座にて。沢村部長と社長秘書の鳳来怜香(ほうらい れいか)さん》


銀と凄い美人の女性が見つめ合い微笑んでる写真だ。


《2人に手を引かれ、楽しそうな男の子》


2人の間に居る男の子のアップ写真。


それは、どう見ても休日を楽しむ仲のいい家族連れにしか見えなかった。


そして、何より私がショックを受けたのは、その男の子が銀にソックリだということ。


誰が見ても、きっとそう言うはず。それほど銀と男の子は似ていた。


「銀……」


スクロールする指が震える…


残りの写真も楽しく買い物をしたり、食事をしている姿がハッキリ捉えられていた。


そして、最後の写真のコメントは――


《鳳来社長の長女でもある鳳来怜香さんとの間に隠し子。沢村部長の将来は約束された!》


頭の中が真っ白。何も考えられなかった。


銀に華以外の子供が居たなんて……それも、華と同じくらいの年の子供だ。


「神埼さん? 大丈夫?」


私の肩を揺する橋倉さんの瞳には、涙が溢れていた。そして私は、ただ一点を見つめ放心状態。


すると血相を変えて赤毛さんがオフィスに飛び込んできた。


「桃尻ちゃん! 大変だ!」


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